日経新聞に掲載されていた、恐怖を感じた後にお金をもらうと恐怖の記憶が和らぐということで、PTSDの治療に利用できるのではないかという記事がツイッターで回ってきました。
記事に対する私の感想です。 モトコ・モリ on Twitter: "お金をもらうために辛い思いをしていると思って脳が納得できるからですね。理不尽な出来事がトラウマ化するので。… "
人間は理不尽な出来事を嫌い、無意識に理由付けを行います。
大学生を3つのグループに分け、電気ショックを受けて苦しんでいる人の映像を見せる実験で、
「彼は電気ショックを得ることで30ドル貰っている」、「彼は苦しんでいる演技をしている」、「何も説明しない」と3種類の対応を取ってから、男性の魅力を判定させます。
何も説明しなかったグループだけが男性を低く評価しました。
理由もなく苦痛を受ける男性をそのまま受け入れてしまうと、自分も理由もなく苦しむ可能性があることを認めることになります。
しかし、「男性が何か悪いことをしているから、苦しんでいるに違いない」と考えれば、自分とは関係ないと思うことができます。
一方で、この脳の傾向は被虐待児など、子供の頃に辛い経験した人の自己評価が低くなる原因でもあります。
「悪いことをしたから酷い目にあっている」は、裏を返せば「酷い目にあっているのは悪いことをしたから」になります。
無意識のうちに罪悪感が刷り込まれてしまい、何が起こっても自分が悪い気がしてしまう。悪口は全て自分のことを言っているように聞こえてしまうのです。自分が悪い子である証拠を集めようとしているからです。
不幸な境遇に晒されているのは自分が悪い子だからと、極端に「いい子でいようとしてしまう」ことにもなります。
私は本質的にはおしゃべりでいい加減で雑な性格で、最近はずいぶん素でいられるようになりましたが、トラウマが濃かった頃は自分は「無口で真面目でちゃんとしてる」と思ってました。真逆です。
いい子であろうとした結果そう思い込んでたんですよね。常に自分を演じて人に会うのですごく疲れていました。自宅に帰ると電池が切れてしまう感じで……。
今は周囲の人が私本来の性質を面白がってくれるような環境にいるので、以前ほど外に出るのも人に会うのも苦ではないですが……。
それでも何か問題があると私のせいかもと考えてしまうので、まだまだ罪悪感が残っているなぁと思います。私もお金を貰ってトラウマを和らげたいです……。