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『THE FIRST SLAM DUNK』感想(ネタバレあり)

スラムダンクリアタイ世代ではないですが原作読んで、湘北だと宮城リョータが一番好きな人間の感想です。

リョーちんかっこいいよ!!!

前情報そこまで見ていなかったので、リョーちん主人公っていうのにまずびっくりしたんですが、もっと全面に出していても良くないですか? 確かにメインビジュアルではリョーちんが一番前にいましたが、身長的にあの構図が収まり良かったのかなと思ってて、5人全員主人公というかそんな感じだと思っていて見たら明確にリョーちん主役でびっくりしましたね。。。

朝一で劇場に行き既にグッズはほぼ売り切れの中、赤城とリョーちんのポスターだけ残っていた状態で、5人の中での人気こんな感じなんだ……とちょっとショックを受けたのですが(主人公とイケメンライバルとみっちゃんなのでしょうがない)、上映後はリョーちんグッズも売り切れてました(ゴ、ゴリは……?)

以下、ネタバレ前回の本編の感想です。

連載終了から二十数年後にこんなに属性増えることありますか?

しかも原作者公認というか原作者が直々に監督脚本の作品で。ちょっと一回冷静に振り返ってみます。

映画冒頭から年上の兄ソータと1 on 1するリョーちんから始まり、彼の悲劇的な少年期の生い立ちが描かれた後、井上先生の手描き風のモノクロイラストで湘北メンバーが描かれ、歩き出していく後に、山王メンバーが描かれ山王戦であることがわかる作り。前フリはなくいきなり試合です。

以降、山王戦とリョーちんのエピソードが交互に組み込まれていくこととなります。

いきなり原作のクライマックス突入で、原作はもちろん全部読んでるよね?感がすごい作り。いやまあ、読んでますが! でもノー知識の人でも、原作ファンも知らないリョーちんの生い立ちエピソードが中心になってるので意外と見れるかなと思います。原作シーンが映像化されている部分も多々あるので知っていればなお楽しめるとは思いますが。

リョーちんの過去としてはこんな感じです。幼少期は父母兄リョーちん妹の5人家族で沖縄に住んでいたが、幼い頃に父が亡くなり、父の代わりになると言っていたバスケが上手い3歳上の憧れの兄ソータも、友人と出かけた海釣り中の海難事故で亡くなってしまう。

死んだ兄の後を追うように同じ背番号でバスケを続けるリョータだが、家庭でもバスケでも兄のようにはなれず…………夫と長男を喪った悲しみを忘れるため、母が引っ越しを決めて中学から神奈川にやってきたという流れ。

中1のリョーちん(天パ)と中2でグレる前のみっちゃんがストリートコートで出会い、兄の死を引きずり暗い雰囲気のリョータに1 on 1をしかけるシーンなどもあり、ここが個人的に胸が苦しくなりました。みっちゃんとの1 on 1の時に兄のことを思い出して手足が動かなくなる描写とかフラッシュバックとしてすごくリアルでした。

中2みっちゃんは視覚的にわかりやすいように原作のサラサラ髪ではなく3年時に近い短髪になってます

本編のスラムダンクでは花道の父のエピソードがちらっとあるくらいで、家族描写はほぼなかったので、スラムダンクの少年誌スポーツ漫画のノリというよりは、後の作品の「リアル」などに近い作風に感じました。今の井上先生が描くとこうなるんだなぁと。山王戦も最終エピソードということで少年誌としては大人な印象のあるエピソードでしたが。

原作の山王戦の熱いエピソード(赤城の弱さ、何度でも蘇る三井寿、パスを覚えた流川、そして花道の選手生命)も勿論組み込まれてはいるのですが、とにかく初出のリョーちん情報がメインのストーリーラインです。

家庭でもバスケでも優等生だった兄のようにはなれず、問題児だったリョーちんが、生前の兄が言っていた「山王工業に勝つ」という想いと赤いリストバンドを持ち込んでコートに立つっていう……こういう形容は安いんですが、そりゃ今風に言うとエモいですよ……

映画鑑賞後にパンフの井上先生のインタビューを見ましたが、自分でやる以上、原作そのままではなく新しい形で描きたかった。連載時は一年コンビの花道と流川、三年の赤城三井小暮に挟まれる形だったので、リョータをもう少し描いて見たかったので主役に据えたとのこと。連載中は若かったので高校生の目線しかなかったが、今の自分が描くとこうなるみたいなことを仰ってたので印象としては正しかったなぁと。

試合はポジショニングや動きのリアルさが本当にバスケの試合のようですごかったです。この映像方式で他の試合も見たい!!!と強く思いました。私は豊玉が好きなので。。。豊玉戦を。。。

前フリなくいきなり山王戦なのと、リョーちんの回想が結構頻繁に入り、その度テンションが落ち着くので、盛り上げが難しい部分もありましたが、兄の亡霊に人知れず囚われている宮城リョータが、兄のことは誰も知らない神奈川で、宮城リョータになっていく過程が丁寧に描かれていたなと思いました。

試合後、母に兄を思い起こさせるであろうバスケをずっと続けさせてくれた感謝の手紙を書くにあたって、出来のいい兄ではなく自分が生きていることを詫びる一文を書きかけてゴミ箱に捨てるところとか良かったです。

最後のシーンはアメリカに行った沢北が日本人記者相手のインタビューを受けていて、対戦相手にはリョーちんがいるという流れで、リョーちん主役にしてもやりすぎじゃない?とちょっと思ったんですが、今や日本人選手がNBAで複数名活躍している時代なので、井上先生も描写を現代に合わせてきたのかなぁと思いました。

リョーちん、かっこいいよ!!!!!