そとでよ - オタク独女の趣味と資産形成

30代女の趣味と老後資産形成

『ザ・メニュー』感想、グロさはそこまででもないです。

ザ・メニュー、見てきました。

普段ホラーはほとんど見ないのですが、画作りが上品で展開も先が読めずにとても良かったです。

R15ですが緊迫した空気感と、シチュエーション的なグロさはありますが、絵的にはそこまでグロはないです。共感性豊かだと想像して痛くなってしまう人はいるかも。

ネタバレ込みの感想

会社の歓迎会や忘年会、旅館などで出される見た目が凝った料理を目の前にすると『これはなんだろう……』と首を傾げながら食べているような人間なので、グルメ気取り、料理評論家、旦那が浮気性の熟年夫婦、オーナーの友人の成金たち、過去の栄光を引きずる落ち目の映画スターと付き人、と嫌いな人間ばかり出てくるぞ……と思って見ていました。特に主人公のマーゴの彼(と言っていいものか……)レッドフォードは品のない人物として描かれています。

評判と格調は高いけど何を食べさせられているのかさっぱりわからないレストランと、いやな客あるあるが繰り広げられる中、次第にメニューにシェフの狂気が滲んできて様相が変わってきます。

副料理長を罵倒し拳銃自殺させてみたり、これまた別の副料理長へ自身のセクハラ告発をさせた上で男性のシンボルに報いを受けてみたり……レイフ・ファインズ演じる総料理長のジュリアン・スローヴィクの人物像は丁寧に構築されていて非常に良かったです。

彼はどちらかといえば庶民的な生い立ちで、客側にいる金持ちやセレブたちとは遠いところにいた人のようで、かつては純朴な料理好きの青年だったということが伺えるのですが、並外れた繊細さ神経質さによって壊れていった過程が見えるようでした。

彼のメニューは結局、彼の追い求めるかたちで完成するのですが、元は招待客ではなく、高級レストランには似合わない異分子である庶民的感性を持つマーゴだけが、幾分かでも彼にかつての初心を思い起こさせ、魂を救済した結果、機転により彼女自身も救われたのが素晴らしかったなと思います。

食欲なくなるだろうなと思って見に行ったのですが、猛烈な飯テロを喰らいました。『本物のチーズバーガー』が食べたくなること請け合いです。